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深海絵画展

深海好きが集まって、恵比寿のギャラリーに深海の絵を飾るイベント「深海絵画展」。その展示作品を紹介していきます。

ようこそ深海の竜宮へ。リュウグウノツカイの銅版画

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 むかしむかし、ある村に、心のやさしい浦島太郎という若者がいました。
 浦島が海辺を通りかかると、男たちが赤いタテガミのある大きな魚を捕まえていじめていました。

「おやおや、かわいそうに、逃がしておやりよ」
「嫌だね。オレたちが、捕まえたんだ。どうしようと、オレたちの勝手だろ」
 見るとその魚は涙をこぼしながら、浦島さんを見つめています。
 浦島さんはお金を取り出すと、男たちに差し出して言いました。
「それでは、このお金をあげるから、この魚を売っておくれ」
「そこまで言うなら、しょうがないな。」
 こうして浦島さんは、男たちから魚を受け取ると、そっと海の中へ逃がしてやりました。

 さて、それから二、三日たったある日の事、浦島さんが海に出かけて魚を釣っていると、
「・・・浦島さん、・・・浦島さん」
と、誰かが呼ぶ声がします。
「おや? 誰が呼んでいるのだろう?」
「わたしですよ。リュウグウノツカイです。」
 すると海の上に、ひょっこりとあの時の不思議な魚が頭を出していました。
「このあいだは助けていただいて、ありがとうございました。」
「ああ、あの時の不思議な魚さんだね」
「はい、おかげで命が助かりました。ところで浦島さんは、竜宮城には行った事がありますか?」
「竜宮? さあ? 竜宮って、どこにあるんだい?」
「海の底です」
「えっ? 海の底へなんか、行けるのかい?」
「はい。わたしがお連れしましょう。さあ、背中へ跨ってこの赤いタテガミを掴んでいてください」
 リュウグウノツカイは浦島さんを背中に乗せると、海の中をずんずんともぐっていきました。
 徐々に当たりが暗くなってきました。
「随分深く潜るんだね。暗くなってきたけど大丈夫かい?」

「大丈夫ですよ。」

潜って行くうちに奇妙な魚達ととすれ違います

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「!」

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「…」


「まぁまぁ浦島さん、見た目はアレですけど、ああ見えてなかなか良い奴らなんですよ。」
真っ暗闇の中、音も波もない世界が広がります。
静寂の世界で漂っている、そんな不思議な気持ちになってきて浦島さんはだんだんと眠くなってきました。

目を覚ましたとき、そこは海底で目の前には大きな宮殿がありました。
「着きましたよ。このご殿が竜宮です。さあ、こちらへ」
 案内されるまま進んでいくと、美しい乙姫さまが、浦島さんを出迎えてくれました。

.

.

.
「ようこそ、浦島さん。ツカイのものが命を助けて頂いたようで、本当に感謝しています。私はこの竜宮の主人、乙姫です。」

f:id:shinkaikaiga:20170227153338j:imageshojichiaki、リュウグウ』、銅版画、18cm×24cm

 

作品解説

「浦島伝説の亀がリュウグウノツカイに代わったとしたら」というシチュエーションで描いてみました。

リュウグウノツカイは成長すれば10mにもなるという長い魚です。泳いでいる姿が本当に神秘的で、リュウグウノツカイにふさわしい威厳を持っています。

 

動いている姿を見るとしたらナショジオのこのドキュメンタリーがおすすめ。特にナイトダイブでリュウグウノツカイと遭遇するシーンは鳥肌ものです!

四隅には額の模様を描いて乙姫の華やかさを演出しました。

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模様の元ネタはこちら。

f:id:shinkaikaiga:20170227154503j:image(出典:amp

ヒノオビクラゲという深海生物です。このクラゲは、一体一体が合体して機能ごとのパーツに変化するという群体という性質を持っています。不思議。どこかで描きたいと思っていましたが、模様として登場させました。

色刷り

色インクで刷ったバージョンがこちら

f:id:shinkaikaiga:20170227160917j:imageshojichiaki 、『リュウグウ』(ルビーレッド版)、銅版画、18cm×24cm

シャルボネ社のルビーレッドという高価なエッチングインクを使ってみました。

発色は素晴らしいのですが、値段が値段だけにあまり気軽に刷れないのが難点ですね。

 

 

展覧会情報

この作品が展示される「深海絵画展」詳細は以下の通りです。ぜひご来場ください。
開催期間: 2017年4月25日(火)〜4月30日(日)
開場時間:11:00〜19:00(最終日17:00まで。15:00〜17:00はクロージングパーティー)
会場:弘重ギャラリー | 東京都恵比寿6分。天井高3mの本格的ギャラリー
住所:東京都渋谷区恵比寿2丁目10番3号 ART CUBE EBIS B1F
入場無料

アーティスト情報

このアーティストの他の作品は以下のサイトにあります。
shojichiaki portfolio – 油絵、銅版画、写真