闇の深海を漂うオウムガイの銅版画
M.N.『彷徨』銅版画
"ムッシュー・ノーチラスはニューカレドニア近郊の海底600mを漂っている。何かを探していたが、
何を探しているのか忘れてしまった。"
M.N.さんの銅版画作品を紹介します。
深海の闇にボーっと浮かぶように見えるオウムガイ。静謐な雰囲気が良いですね!
この作品は「メゾチント」という特徴的な技法で作られていまして、今回はその技法について紹介してみようと思います。
メゾチントとは
メゾチントの作品の特徴はとにかく「黒がすごく深い」ということです。
しかし、この技法。
すごく大変!
銅版画は溝ができたところが黒くなるという仕組みなのですが、ここまで高密度に黒くしようとすると銅板に隙間なく溝を作らないといけないわけです。
それに使う道具がこのベルソー。
(出典:文房堂.com)
要するに湾曲したノコギリ。
ノコギリで銅板を縦横斜めに1mmの隙間なく傷をつけるという感じです…
普通に腕が筋肉痛になります。
それを全面に施して、今度はオウムガイの形に傷を抑えていくという工程なんですね。
…果てしない。
作品のディテールを見てみると削り取られた目立ての粒々が見えます。
是非とも接近して見て欲しい作品です。
オオベソオウムガイ
この作品に描かれているのは「オオベソオウムガイ」というニューカレドニアの珊瑚礁にいる固有種のようで、それで背景には珊瑚が描かれているのですね。
古代種オウムガイの凄さについてはこちらの記事に書きました。
ざっくり古生物史でオウムガイ5億年の凄さを感じてみる - 深海絵画展
展覧会情報
この作品が展示される「深海絵画展」詳細は以下の通りです。ぜひご来場ください。
開催期間: 2017年4月25日(火)〜4月30日(日)
開場時間:11:00〜19:00(最終日17:00まで。15:00〜17:00はクロージングパーティー)
会場:弘重ギャラリー | 東京都恵比寿6分。天井高3mの本格的ギャラリー
住所:東京都渋谷区恵比寿2丁目10番3号 ART CUBE EBIS B1F
入場無料