僕らの祖先、シーラカンスの銅版画
"生きた化石"でお馴染みのシーラカンス。昔は浅いところにも居たみたいですが、現存種は深海に残っているだけなので、現在は深海生物カテゴリとなっております。
古代魚って骨格がメカみたいですごいカッコいいと思うんですよね。
昔のゲームで、「ダライアス」っていうシューティングゲームがあるんですが、シーラカンス型巨大船艦が一面のボスで登場してきて当時かなり感動しました。
出典: 横シュー大好きカゲヤマタカユキ! ( ゲーム ) - タカユキのMY REST POSE! - Yahoo!ブログ
なのでシーラカンスには思い入れ深いものがあります。この機会に描くしかない!
資料用にフィギュアも買ってきて気合い十分です!
構想
シーラカンスをいろいろ調べてみると、なんでも我々人類の遠い祖先なんだそうですね。
あのヒレで這いながら陸に上がったのではないかという説があります。
ということは、人間の深い深〜い意識の底にはシーラカンスだった時の記憶があるかもしれない。その記憶を思い出す人っていう神秘的な構成の絵を思いつきました。
てわけで下絵1発目。
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…うん!これじゃない!
なんかこう…人間が棒立ちしているのは微妙なので何か演出を加えたいと思います。
というわけで人物がもっと記憶を思い出してる感じで下絵その2。
結構マシになってきました。
でも服がもっとこう、マントやローブとか着せたら古代の世界観に近づくのでは?
マントを羽織らせてみます。
こんな感じ?
ややファンタジックな世界になってきました。
てか魚デカ!
体長2mの魚が浮かんでいるとバランス悪いので調整することにします。
古代人のディテールをアップ!
…なんか怖い。
というわけで最終版はこんな絵に
現代に市販されているマフラーとポンチョを着せてやや現代的な装いになりました。
この下絵を銅版画にしていきます。
銅版画
銅版画の道のりは果てしない。
何しろ絵を描くまで銅版磨いたり、角を落としたり金細工職人みたいな事をした後、液体を塗布して火で炙ったりして錬金術師のような作業をしてようやく描画に取りかかれるのです。
表面のフィルムみたいなのを針で剥がして、これを酸に浸けて銅版に剥がされたところに溝を作っていきます。この技法エッチングと言います。
これが腐食して刷った時の試し刷りです。
ここからバックに松ヤニをばら撒いて防食膜を作って腐食させるアクアチントって技法で黒を入れます。
アクアチントを使って60分以上の腐食をした結果がこちら。
バックが入ると一気にそれっぽくなりました。
ここから直接銅版を彫り込んで描き直して最終調整です。
完成作品
「古代の記憶」、銅版画、18cm×24cm
というわけで完成しました。
シーラカンスのディテール。
背景のアクアチント部分は松ヤニの粒々が見えます。レリーフのような輪郭線は本当に銅版が腐食されすぎてレリーフのようになっているために強く出てきています。
人物のアップ。思い出している感じを出すために頭の周囲の黒部分は銅版を紙ヤスリで削って白さを出してます。
展覧会情報
この作品が展示される「深海絵画展」詳細は以下の通りです。ぜひご来場ください。
開催期間: 2017年4月25日(火)〜4月30日(日)
開場時間:11:00〜19:00(最終日17:00まで。15:00〜17:00はクロージングパーティー)
会場:弘重ギャラリー | 東京都恵比寿6分。天井高3mの本格的ギャラリー
住所:東京都渋谷区恵比寿2丁目10番3号 ART CUBE EBIS B1F
入場無料
アーティスト情報
このアーティストの他の作品は以下のサイトにあります。
shojichiaki portfolio – 油絵、銅版画、写真